米国スポーツ賭博解禁の背景と将来予測

昨年5月、米国では事実上スポーツ賭博が解禁されました。最高裁が、スポーツ賭博を禁止する連邦法PASPAを違憲と判断したのです。と聞いても、いまいちピンと来ない人がほとんどでしょう。
「スポーツと賭博」と聞くと、日本では「黒い霧事件」を思い浮かべる人もいるでしょうし、アメリカなら1919年のワールドシリーズを舞台にした八百長スキャンダル「ブラックソックス事件」になるかもしれません。いずれにしても、良いイメージはなかったはずです。

実際、米国でもスポーツ組織は長きに渡りギャンブルとは一定の距離を取ってきました。MLB最多安打記録を持つピート・ローズは野球賭博で永久追放処分を受けていますし、ギャンブルのメッカであるラスベガスに4大メジャースポーツがフランチャイズを置かないことは不文律になっていました。
スポーツ賭博解禁の判断が出た冒頭の裁判が始まったのが2012年。実は、公判では4大スポーツは原告としてスポーツ賭博解禁に反対していました。しかし、6年に及ぶ審理の中で、スポーツ側がスタンスを180度変えてしまいました。そして、今やラスベガスにはNHLの新球団が設立され、4大スポーツはいずれもMGMなど賭博事業者とスポンサーシップ契約を結んでいます。
この6年間に米国スポーツ界に何か起こり、何が変わったのでしょう？
全米ゲーミング協会（AGA）の試算では、スポーツ賭博解禁にはスポーツ組織の総収入に対して10%程度にも及ぶ大きな増収効果が認められています。そして、その8割は既存収益源に対する間接的増収効果です。これが何を意味するのか。

今回のセミナーでは、スポーツ賭博解禁に至る経緯やその背景を整理するとともに、スポーツ賭博解禁がもたらすビジネス的なインパクトや、それを読み解くするために必須となるスポーツ界に近い将来起こるであろうとされる質的変化について、参加者の皆さんとともに考えてみたいと思います。

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